令和3年7月27日(火)に、探究科学科1年79名が生物班、地学班、歴史班、地理班の4班に分かれ、「立山実習」を行いました。昨年度は実施できず、今年度も台風の接近により実施が危ぶまれましたが、何とか本物に触れる体験をすることができました。
【生物班】
美女平でタテヤマスギの樹高計測後に雨が降り出しました。そこで、バスの中や室堂の自然保護センターで、立山の環境に適応した植物の形態や外来植物についての説明を聞きながら小雨になるのを待って、天狗平、室堂、弥陀ヶ原で植物を観察することにしました。小雨の中でしたが、雪や風の影響を受けた樹木や高山植物の形態の様子などをしっかり観察することができました。また、外来植物が予想以上に侵入していることも実感し、自分たちが立山の自然を守るためにできることを考えるよいきっかけとなりました。
【地学班】
雨の中、立山カルデラ砂防博物館の福井幸太郎学芸員に室堂の案内・解説をしていただきました。雨に加えてガスの影響もあり、少し離れた場所の観察も難しかったのですが、立山をつくる白い岩石(花崗岩類)と弥陀ヶ原をつくる黒い岩石(安山岩質溶岩)、水蒸気爆発でできたミクリガ池、噴気をあげる弥陀ヶ原火山等をじっくりと観察しました。今までとは違った視点をもつと、自然の見え方が変わることを学びました。その他にも、標高ごとの気圧を気圧計および気体の体積変化からの測定を行いました。
【歴史班】
まず立山博物館で、常設展示「立山信仰の世界」と企画展「立山信仰と山麓のくらし」を観覧し、立山信仰や立山曼荼羅について、詳しく知ることができました。その後、小雨が降るなか室堂平を散策し、立山室堂や玉殿の岩屋など立山信仰に関連するところを実際に見学しました。人々の信仰心が自然と深く結びついていることを体感し、理解を深めました。「信ずる」とは何か、「信仰心」とは何か。「立山」を通して、これまであまり意識してこなかったことに思いをめぐらせ、改めて自分たちのあり方を考える機会となりました。
【地理班】
「私が総理大臣だったら、こうやってCO2を減らす」という事前レポートを各自作成して、実習に臨みました。当日は、CO2を排出しない太陽光発電所、小水力発電施設、大規模水力発電所の見学を行いました。
太陽光発電はクリーンで静かだが広大な土地が必要であることやパネルの廃棄方法が解決されていないことを知りました。小水力発電では身近な用水を活用できるが水利権の問題があることを学びました。有峰ダムではその巨大さに驚くと同時に適地が限られることを理解しました。エネルギーの“ベストミックス”を考える良いきっかけとなりました。